従業員の離職は、多くの企業が直面する課題です。特に人員不足や優秀な人材の流出は、企業の成長に大きな影響を及ぼします。
この記事では、従業員が会社を辞める主な理由について解説し、退職の原因を解決するための効果的な対策を3つご紹介します。
離職率の低下につながる、職場環境を改善の具体的な施策も解説しています。人事担当者や経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
離職率とは?
離職率とは、一定期間内に会社でどの程度の人が退職したかを表す指標です。一般的には、1年間に離職した人を算出します。
厚生労働省のデータによると、2023年の離職率の平均は15.4%でした(アルバイト含む※1)。前年の2022年よりも0.4%上昇しています。また、同データを元に産業ごとの離職者数の平均上位5つ(分類されない他サービス業を除く)を以下の表にまとめました。
産業名 | 離職率平均(%) |
生活関連サービス業・娯楽業 | 28.1 |
宿泊業・飲食サービス業 | 26.6 |
不動産業・物品賃貸業 | 16.3 |
鉱業・採石業・砂利採取業 | 14.8 |
医療・福祉 | 14.6 |
なお、離職率は以下の式で求めることができます。
例として、従業員数1,000人の会社で1年間に10人の退職者が出た場合を想定します。上記の式に当てはめると、離職率は1%になります。
厚生労働省のデータを参考にしたり、去年の自社の離職者数と比較することで、自社の離職率が高いかどうかを客観的に判断することができます。
よくある離職理由3つ
従業員が離職する理由はさまざまあります。2023年に厚生労働省がまとめた退職理由のデータを、男女別に以下の表にまとめました。なお、表には退職理由の中でも「個人的理由」の上位3つに絞って掲載しています。
退職理由 | 男(%) | 女(%) |
職場の人間関係が好ましくなかった | 9.1 | 13.0 |
労働時間、休日などの労働条件が悪かった | 8.1 | 11.1 |
給料等収入が少なかった | 8.2 | 7.1 |
「職場の人間関係が好ましくなかった」が男女ともに上位で、それぞれ1割前後を占めています。男女で多少バラつきはありますが、続いて「
労働時間、休日などの労働条件が悪かった」が男性で8.1%女性で11.1%、次に「給料等収入が少なかった」で男性が8.2%、女性で7.4%という結果でした。一方で、エン・ジャパン株式会社の調査(※2)によると、退職時に「本当の退職理由を会社に伝えなかった」と答えた人は、全体の54%にも上るそうです。
退職者の2人に1人は退職理由で本音を言えてないことになりますね…。
退職代行モームリには、本当の退職理由が蓄積されています。退職代行モームリを管理する、株式会社アルバトロスが行った退職代行利用状況の調査(※3)によると、離職理由として多く挙がっていたのは以下の3つでした。
【退職理由上位3つ】
➀上司から各種ハラスメントを受けている
②上司から退職を止められる
③サービス残業がある
以下は、弊社が行った退職代行利用状況の調査結果の図です。
退職理由として一番多かったのは「上司から各種ハラスメントを受けている」という理由で、全体の3割以上でした。次に多かったのは「上司から退職を止められる」という理由で、こちらも全体の3割以上を占めています。
3番目に多かった退職理由としては「サービス残業がある」が挙げられており、全体の約2割半という結果でした。
ここに挙げられている退職理由に焦点を当てて労働環境を改善できれば、離職率を低下ができると考えられます。次の章では、離職率低下のためにできる具体的な施策を解説していきます。
離職率低下のためにできること3つ
以下、離職率を低下させるためにできること3つを解説していきます。
原因を把握して今後に活かす
離職率を低下させるには、まず自社の退職状況を把握し、退職理由をヒアリングして分析することが大切です。これにより不満点を改善し、離職率の低下が期待できます。
一方で、当事者目線で自社の課題を分析するには、時間や労力がかかります。また、離職者が本音で退職理由を話していないというケースも多くあります。
「第三者目線かつプロの視点から、離職率低下のためのアドバイスがほしい」「離職者の本当の退職理由を知りたい」という方は、MOMURI+(モームリプラス)が提供する離職者低下コンサルティングを利用するのもおすすめです。
MOMURI+とは、退職代行モームリに蓄積されている2万件以上のデータを元に、情報開示などを行うサービスです。同業他社の退職代行利用者の本当の退職理由の開示や、自社の就業規則や離職状況を元に、離職率低下のための具体的な施策の提案を受けることができます。
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労務関係の法令順守を徹底する
離職率低下のためには、当たり前ですが労働に関する法律をきちんと守ることが大切です。以下のような例が挙げられます。
労務関係の法令順守の例)
・各種ハラスメントを辞める
・最低賃金を支払う など
セクハラやパワハラといった、各種ハラスメントをしない・させないことを現場で徹底させましょう。また、各都道府県によって異なる最低賃金を守ることも徹底します。
離職理由として多かったサービス残業を強要しない、という対策も効果的ですね。
日頃のコミュニケーションを大切にする
離職率低下の第一歩は、本当の退職理由を知ることです。日頃から従業員とコミュニケーションをとり、本音を話してもらえるような信頼関係を構築することが重要であると言えます。
実際に、日頃から上司とコミュニケーションをとったことにより、退職を考え直したという人も多いようです。
今の仕事辞めようかなって考えてたけど、店長に「彼氏(留学中)が帰って来たら有給いっぱい取って遊びに行ってね!」って言われてもう少し頑張ろうと思った。
— デグマル (@CNVz7TPjc982826) October 20, 2023
接客業辛くなってきたけど店長や他の社員さんも優しくて大好きなんだ…😢
なんだか現上司の上司や元上司に好かれてるようでありがたい〜
— エリカ@貢ぎ癖止めたい (@phantomnight8) September 29, 2024
仕事そんなにできないのにできる人だと思われてる感はあるけど(笑)
引き抜きたいって言ってもらえたり今の現場で今後役職につかせたいって声かけてもらえるくらい期待してくれてるの嬉しい
辞めようか迷ってたけどもうちょい頑張るか
コミュニケーションをはかる際に大切なポイントは、一方的に話さないようにすることです。目安としては、話の長さは部下が7割、上司が3割程度です。
離職者本人と直接話をする他にも、本人の同僚や近しい人から本当の退職理由を聞きだすという方法もあります。
上記のような対策や日頃からのコミュニケーションを行っていても離職者が出る場合は、無理に引き止めようとせず、諦めることも大切です。辞めたい人を無理に引き止めるのではなく、その人件費を採用活動の費用にあて、新たな人材を確保する方向に切り替える方が賢明です。
まとめ
厚生労働省によると、2023年の離職率の平均は15.4%という結果になっています。また、退職代行を利用した人が挙げた退職理由の上位3つは「➀上司から各種ハラスメントを受けている」「②上司から退職を止められる」「③サービス残業がある」でした。
離職率低下のためには、以下の3つの施策が大切です。
➀原因を把握して今後に活かす
②労務関係の法令順守を徹底する
③日頃のコミュニケーションを大切にする
離職率低下のための鍵は、離職者の本当の退職理由を知ることです。
この記事を参考にMOMURI+の活用を検討したり、コミュニケーションのあり方・法令順守ができているかを振り返ってみたりなどし、離職率低下を目指してみてくださいね。
参照
※1厚生労働省|-令和5年雇用動向調査結果の概況-PDF
※2PR TIMESエン・ジャパン株式会社|「本当の退職理由」調査(2024)退職時、本当の退職理由を伝えなかった方は半数以上。本当の退職理由トップは「人間関係」。 退職代行サービスの利用経験は3%に留まる。
※3PR TIMES 株式会社アルバトロス|退職代行モームリ累計利用者15,934名分のデータ・利用された企業情報を公開