企業にとって『退職』というのは、人材不足に繋がる非常に重要な問題となります。
ここでは退職代行業者の代表として7,000名以上の退職に携わってきた私がその原因と対策を細かく記載していきます。
\「辞めたい会社」から「辞めない会社」へ/
「看護師の離職対策カンファレンス」に講師として参加
今回こちらで記載する内容に関しては、看護師の離職対策カンファレンスにて私が講演させていただいた内容となります。
その講演内容を元にこちらに記載させていただきます。
講演を行った講師について
株式会社アルバトロス代表取締役の私、谷本慎二が講演を行わせていただきました。
前職は東証一部上場企業であり、労務関係はかなり気を遣われている会社ではありましたが、それでも上記に添付したようなブラック体験をうけました。
その苦しかった経験を元に退職代行というサービスに目を付け、運営を開始し、そこでの実態を元に離職者の多い看護業界に向けて講演を行いました。
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看護業界(看護師)で離職者の実際にあった退職理由
ここでは実際に退職代行依頼者で看護関連の方の退職理由を記載しました。
実際にシートに記載した原文ママで記載しております。
- 【退職理由①】忙しくて教育がされない
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病棟自体が忙しいため教育指導が疎かで、今後続けていけそうにない。
教育指導があいまいなため、分からないことが多く、分からないことを質問したりすると嫌な顔をされる。だから聞きづらい。
- 【退職理由②】入社直後にすぐ代役をさせられる
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まだ入社して1ヶ月でありながら、最近退職された方の代わりを務めることがプレッシャーで、精神的に辛くなりました。
- 【退職理由③】上司からの叱責
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ミスをした際の上司からの言葉や仕事へのストレスが溜まり利用しました。
- 【退職理由④】上司からのセクハラ
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院長のセクハラが酷い、仕事を覚えるのが難しく諸先輩方へ沢山ご迷惑をおかけしたから。
- 【退職理由⑤】自分に適性がない
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まだ1ヶ月も経っていないのですが、自分自身に看護師としての適性がないと強く感じ、
このまま働いていたら患者さんたちや職場の人たちに迷惑をかけてしまう、申し訳ないと感じてしまい、恐怖と自暴自棄でどうしようもなくなってしまいました。
- 【退職理由⑥】退職を拒否されたため
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退職届を3回出しても辞めれなかったため。
上記に記載した内容に関しては、看護師の退職理由として一般的なものであり、ほとんどの退職理由はこれらに当てはまります。
給料に応じていない人員不足による過酷な労働が看護師の方に課せられている印象も受けました。
本当の退職理由を聞き出すために必要なこと
退職代行にはありのままの退職理由を依頼者から伝えられます。
しかし、一方現場では「その思いをきちんと伝える事ができない=会社と離職者の考えに相違がある。」ということになりがちです。
その上でどうすれば会社が離職希望者の本音を聞くことができるのかをお伝えします。
本人の話は聞かない
大前提として日頃からのコミュニケーションは必要です。
その上で「本人の話は聞かない」というのは「全てが本当の事では無いと認識する」ということになります。
やはり一緒に働いている上司の方に本当の事を話すというのは難しいことですし、もしかするとその上司の事が負担に思っている可能性もあります。
退職代行の依頼者で「上司と3日前に鍋パーティをした」「来週上司と釣りに行く約束をしている」という方もいらっしゃいました。
関わりの無い第三者が話をする
最初にも記しましたが、離職希望者は退職代行業者にはありのままの退職理由を伝えてくれます。
それと同じように関わりの無い第三者が離職希望者に面談や相談を受けることによって、本当の心意を聞くことできる可能性が高まります。
話の長さの割合は部下7割、自分3割程度が理想
日頃から部下社員とコミュニケーションをとっていると思われている方でも、実は部下社員からすると一方的に話をされていると感じる事もあります。
そういったことを防ぐためにも、面談やコミュニケーションをするときには、自分の話よりも相手の話を尊重して話すことをおすすめします。
役職が高い方ほど自分の意見や想いが強いので、気づかぬ間にそれを強要・強制してしまっている節もあるんですよね…。
看護業界で大量離職が起こる原因
SNSなどによる他業種との格差の把握
現代ではSNSが普及しており、他業界のきらびやかな仕事だったり、福利厚生が充実している会社の良さが図らずも見えてしまう現状があります。
労務関係がかなり大変な看護業界なので、他業界で高賃金・好待遇の仕事があった際には目がいってしまい、そういったところから転職したいと思う方もおられます。
看護師になりたい!と思って学校まで行って資格を取って、やっと看護師になれたのに、「転職時にもう看護師とは違う業界にしたい」と思われる方も一定数おられます。
人間関係
どこの職場でも多い人間関係による退職ですが、看護業界は女性比率がかなり高いため、女性特有の人間関係に悩まれる方もおられます。
物事をはっきりと言われるような上司であった場合、それが負担になっての退職理由というのも挙げられます。
また、そういった内容に付随してキツい言葉などで相手を威圧してしまい、「ハラスメント」と感じてそれが退職理由に繋がることもあります。
人材不足・待遇
看護業界では慢性的な人材不足が嘆かれています。
先に挙げた実際にあった退職理由のように、能力不足を感じたり過酷な労働環境についていけず退職者が増え、その退職者の穴を埋めるために既存のスタッフに負荷がかかり、その負荷を軽減するために新人を雇ってもその新人も人員不足による教育環境が整っていないため、しんどくなってまた退職をしてしまう。
看護業界は慢性的な人員不足。
一人一人の負荷が増え、余計に退職者が増える。
新人を雇って穴埋めをしても教育する者がおらず、新人のモチベーションも下がる。
新人の退職により、既存のスタッフの負荷も増えて退職に繋がる。
そういったループに陥っています。
今の若い世代の仕事に関する考えの相違
では看護師で言うと病院やクリニック、そこの役職者だけが悪いのかと言うとそうでもありません。
退職代行を行っていると企業側に対して同情するような依頼者の方もいます。
SNSなどで気軽に愚痴などが言えたり、他の業態の実情がわかることもあり、一つの職に対しての考えが甘くなっているという事もあります。
昔は企業内のことが閉鎖的だったため、他の会社のことがわからないこともありましたが、現在では何がおかしくて何がひどい環境なのかわかりやすくなっています。
そういったことから世代での考え方が変わっているということもあるかもしれません。
現状の離職対応・防止策について
人手不足による執拗な引き止め
人手不足であるからこそ退職者を増やしたくないと退職希望者を引き止める風潮があります。
「退職したい」と伝えて数ヶ月の引き止めがあるという話は珍しくありません。
退職希望の人に対して価値観を押しつける
「昔はこうだった」「私の時はこうしてた」「今の若い子は…」
そういった言葉が一番不満を募ってしまいます。
こういった言葉を使うことによって、職場に対しての不満はどんどん増えていってしまいますね。
嫌がらせをする
退職が決まって(退職を伝えて)から仕事量を増やしたり、まわりからのあたりが強くなったり、といった風潮がある会社もあります。
そういった退職者に対して嫌がらせととられる対応をされている会社も実際にはあります。
【まとめ】考えられる今後の離職対策・防止策
大前提として【労務環境は法律に則って適正にしましょう】
退職者の理由のほとんどが労務関係の不満から来ています。
面談などで綺麗事を言ったところで、法律外の対応をされている会社の言っていることは響きません。
まずは、労務関係が適正になっている上で、様々な要因を取り除いていきましょう。
役職者の方や会社が考えを改める
人の考え方や行動を変えるというのは非常に長い時間を要します。
矛先を従業員に向けるのでは無く、『なぜそうなったのか、なぜ退職を考えるに至ったのか』これを会社の問題として改善に向けて動くことが重要です。
辞めたい人を引き止めない
退職者を止めることが重要では無く、退職希望者を出さないことが重要です。
退職者を減らすために退職を引き止めたとしても結果的には退職をする場合がほとんどです。
そのため、もし退職希望者がいたとしたら退職を止めることに労力を費やすのでは無く、モチベーションが低くなって働かれるよりは、その分の人件費を求人費に充てた方が得策と言えます。
辞めたい人は面談をして、それでも退職の希望がある場合は、その希望を尊重した方が結果的に人材の充足に繋がります。
上司となる人や役職が魅力的か
上司となる人が楽しんで仕事をしているか、その役職に魅力があるかというのは非常に重要です。
部下・後輩は上を見て仕事をしているため、将来的にその役職に就きたいかどうかを計っている可能性もあります。
上司が「忙しい」「やることが多い」「休めない」そういった職場で未来があるとは感じなくなりますね。
時には諦める事も必要
どんなに会社が労務関係や人間関係に気を付けても、絶対に退職者は出ます。
退職者がゼロの会社というのは見たことがありませんし、聞いたこともありません。
そのため、ここに記載したような内容は全てできうるかぎり対応をして、それでも退職者が出てしまったというときには『諦める(開きなおる)』ことも重要です。
もちろん全ての要因を完璧に解除できることはないので企業努力も重要ですが、適正な運営ができている会社が過度に従業員の事ばかり考えると経営に支障を来します。
そういったバランスは難しいですが、時には諦めるといった選択肢も出てくることでしょう。