会社の飲み会は、上司や先輩・同僚と楽しく過ごすだけでなく、社会人としてのマナーを身に着けたり、信頼関係を築く大切な場でもあります。
特に新入社員にとっては、良い印象を与えられる機会にもなります。基本的なマナーを守ることで、相手への配慮や礼儀が伝わるだけでなく、社会人としての常識が身に着いているというアピールにもなります。
「古い常識にとらわれるのは時代遅れだ」「うちの会社ではそんなにマナーにうるさくないから問題ない」という方もいるかもしれませんが、マナーは覚えておいて損はありません。

社外の人との会食など、いざという時にスマートに振舞えるよう、基本的な飲み会のマナーをおさえておきましょう。
飲み会のマナー5つ
飲み会では、最低限押さえておきたい5つのマナーがあります。以下、理由と共に解説していきます。
下座に座る
職場の人と食事をする際は、どこが上座・下座にあたるのかを判断してから座るのがマナーです。一般的に、上司が上座に、新入社員は下座にあたる席に座ります。
基本的には、上座とされる場所は出入り口から最も遠く、下座と呼ばれる座席は出入り口から一番近い席です。以下、上座と下座にあたる席についての図です。


数字が小さいほど上座に近づき、数字が大きいほど下座に近づきます。上記の図では➀が上座、⑤が下座になります。そのため、社長がいる場合は➀番、自分が新入社員の場合は⑤の位置に座るということになります。
上座・下座については以下の記事で詳しく解説しています。机や椅子の並び方ごとに図で説明しているので、参考にしてみてください。
場合によっては上司に上座に座るようすすめられることもありますが、一度は必ず「ここは上座なので」と丁寧に断るのがおすすめです。謙虚に振舞う姿勢を見せつつ「社会人としてのマナーを身に着けている」と上司にアピールすることができます。
それでも上司が「自分は出入り口に近い方がいいから」など上座をすすめられた場合は、お礼を言って素直に座りましょう。
一番やってはいけないNG行為は、真っ先に上座に座ることです。居酒屋や会場ではどこが上座にあたるか即座に判断できるようにしておきましょう。
上座・下座の位置の由来にはいくつかあります。1つは、神聖とされる神棚などが部屋の一番奥にもうけられていたから。もう1つは、武家社会の時代において出入り口から敵が侵入する危険を考え、将軍を出入り口から遠ざけた席にしていたためです。現在では、人の出入りの少ない席は落ち着いて過ごせる場所で、目上の人にはゆっくりと過ごしてもらおうというおもてなしの心に根付いた文化になっています。
上着は外で脱いでおく
飲み会は居酒屋などで行われるとこも多いと思います。上着を着ている場合は、お店に入る前に脱いでおくのが望ましいとされています。
上着には、外の汚れや埃が付着しています。店内で脱ぐと埃を立ててしまうため、店内を汚さないようにという配慮からきたマナーです。店内に入ったら、コンパクトに畳んで脇に置いたりハンガーにかけたりしましょう。



お店にハンガーがある場合は、先輩や上司の上着も預かってかけてあげると良いですね。
乾杯の際は相手よりグラスを下げる
乾杯の際は、目上の人よりも少しグラスを下げてからグラスやコップを合わせます。これは、名刺交換の際に相手よりも少し下げて名刺を差し出す動作にも通じていて、謙虚さを示しています。
ただし最近では、マナーを知らなかったり、意味のないルールだとしてグラスを下げずに乾杯する人も多いようです。全体の雰囲気を見て判断し、迷った場合はグラスを少し低めに差し出しておくと良いでしょう。
また、乾杯の時の飲み物はビールかウーロン茶にした方がいいという意見もあります。これには主に2つの理由があるとされています。
1つはお酒が飲める人の中にはビールを頼む人、飲めない人はウーロン茶を頼む人が多く、1つか2つの種類に限定していた方が注文がしやすいからです。2つ目は、まとめて同じものが注文された方が提供される時間が早くなり、スムーズに乾杯できるからです。
このようにまとめて注文することで、場の雰囲気が整いやすく、人数が多いほどそのメリットは大きくなります。職場によっては上司や先輩から「好きなものを注文していいよ」といわれ、特に気にしなくてよい場合もあります。



なぜそういったマナーがあるのかという背景を理解した上で、状況に合わせて対応できると良いですね。
お酒を飲み過ぎない
外では自分がコントロールできる程度のお酒を飲む、というのも社会人にとっては欠かせないマナーです。先輩や上司に勧められたからといって、言われるがままに飲むことがないようにしましょう。
人によっては、羽目を外し過ぎて上司に会社に対する愚痴をこぼしてしまったり、周囲に対して不適切な発言をしてしまうかもしれません。一度やってしまった言動は取り返しがつかず、後日会社に出勤した際に気まずくなる原因にもなります。
飲み会はあくまで社内との交流を深める場なので、節度を保った言動を心がけましょう。敬語の使い方に不安がある方は、以下の記事で分かりやすく解説していますので参考にしてください。
飲み会で緊張している部下に対して上司が「今日は無礼講(ぶれいこう)で!」と声をかけることがあります。無礼講とは、「上下の立場関係なく和気あいあいと飲み会を楽しみましょう」という意図が込められています。ただし、この言葉をそのまま受け取って、上司や先輩に無礼な態度を取らないよう気をつけましょう。
遅刻やドタキャンをしない
飲み会といえども、遅刻やドタキャンをするのはマナー違反です。飲み会を開く場合、開催の日時などをセッティングしてくれた幹事の人がいます。
飲食店で飲み会を行う場合、事前に人数を伝えて予約していることがほとんどです。そのため、当日にキャンセルが出ると、お店への連絡やキャンセル料の発生など、予約をした幹事の人に余計な手間をかけてしまいます。
遅刻すると全員で行う乾杯を待たせてしまい、飲み会の進行に影響が出てしまうこともあります。仕事終わりに飲み会が設定されている場合は、余裕を持って業務を終わらせておきましょう。
良い印象を与えるポイント3つ


「先手必勝」はビジネスマナーの基本です。「自分から率先して挨拶をする」などが大事とされているように、状況に応じて良いとされる行動を積極的に行うことは、自分のイメージアップに繋がります。以下、良い印象を与えるポイントを3つ解説していきます。
清潔感ある身だしなみ
飲み会に参加する際は、業務時間外だからといってジーパンにサンダルなどラフな格好で参加するのは好ましくありません。仕事終わりの飲み会の場合は着替えなどは不要ですが、休みの日に参加する場合、事前にどんな服装で来たらいいか聞いておくと安心です。
また、服装だけでなく清潔感にも気を配れるとより良いです。遅刻しそうだからと走ってきて汗だくで参加してしまうと、ニオイなどで周囲の人に不快感を与えてしまいます。
その他、座敷に上がる場合は靴を脱ぐため、人によっては足のニオイが気になる場合もあります。その場で対策するのは難しいので、事前に対策しておくのをおすすめします。
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こうしたニオイへの対策といった清潔感ある身だしなみは、日頃から対策しておけるかどうかで相手に与える印象が変わります。以下の記事で詳細を解説しているので、こちらも合わせて参考にしてみてください。


周りに気を配る
飲み会に楽しく参加するだけでなく、周囲への気配りまでできるとなお良しです。例えば、大皿で運ばれてきた料理を取り分ける、グラスが空いたら飲み物を注いだり注文を聞く、などです。
上司や先輩に対して何かをおこなう際は、必ず「〇〇さん」「〇〇先輩」と呼びかけ、「取り分けましょうか?」などひと声かけてから動作にうつりましょう。



取り分ける前に「嫌いな食べ物やアレルギーはありますか?」と確認もできると良いです。
ビールを瓶から注ぐ際は右手で瓶の上側、左手で瓶の底を持ち、瓶のラベルは相手に見えるよう上を向くようにします。このように持って注ぐことで、なるべくビールを体温で温めずに注ぐことができます。
ラベルを上に向けるのには、注ぎ口から垂れたお酒がラベルを汚して不衛生にならないようにするため、またお酒の銘柄が相手からもよく見えるようにするため、という目的があります。
ビールは継ぎ足しをすると味が落ちてしまうので、グラスが完全に空になったのを確認してから注ぐようにしましょう。先輩からお酒を注いでもらう際は、コップを両手で持ち「ありがとうございます」と会釈をして受けるようにします。
お礼を伝える
会社の飲み会では、会社が払ってくれたり上司や先輩が少し多めに支払ってくれることが多いです。そのため、飲み会の解散時や出勤した翌日には必ずお礼を伝えるのを忘れないようにしましょう。
実際に、直接お礼を言ってもらえると好印象を抱くという声も多く聞かれます。
去年入った新人の子が飲み会翌日にきっちりお礼を言ってくれるタイプなんだけど、やっぱりお礼言われた方が気持ちはいいし確実に印象はいいよね
— なお (@Choku1109) February 13, 2024
U-25飲み会だから自分が1番年上でもちろん多く払うんだけど、きちんとお礼言ってくれると嬉しいもんだね
— シミ⊿魔雲天 (@shimidoling) June 17, 2020
支払ってくれた人だけでなく、飲み会をセッティングしてくれた幹事の方にもお礼を伝え忘れないようにしましょう。
お酒が飲めない場合は?
お酒が飲めなくても、飲み会に参加すること自体は全く問題ありません。お酒を勧められても無理に飲もうとせず、相手に配慮しつつ断れるようにしましょう。
「ありがとうございます。体質的に飲めないので、こっちを飲ませてもらいますね。」など、勧めてもらったことに対して感謝し、飲めないことをきちんと伝えられると良いです。
大切なのは、場の雰囲気を壊さず、周囲への配慮を忘れないことです。無理せず自分のペースで楽しむ姿勢が、好印象につながります。
まとめ


会社の飲み会は、ただ楽しむだけでなく、社会人としてのマナーを学び、上司や同僚との信頼関係を深める貴重な場でもあります。飲み会のシーンで最低限押さえておきたいマナーとして、以下の5つが挙げられます。
- 下座に座る
- 上着は外で脱いでおく
- 乾杯の際は相手よりグラスを下げる
- お酒を飲み過ぎない
- 遅刻やドタキャンをしない
その他、好印象を与えるポイントとして、「清潔感ある身だしなみ」を心がける、食事の取り分けやお酒を注ぐなど「周りに気を配る」、飲み会終了後は上司や幹事に「お礼を伝える」が挙げられます。
また、お酒が飲めない場合でも、無理に飲む必要はありません。相手に配慮しながら断り、楽しく参加することが大切です。
会社によっては、今回取り上げたマナーを一切気にしなくていいとする社風のところもあります。あくまで「こういうマナーや考え方がある」と認識しておき、社外の会食や商談などの場面でスマートに立ち回れるよう準備しておくことが大切です。



自分の立ち位置や状況に応じた振る舞いができるようになれば、どんな場面でも印象を良くすることができます。この記事を参考に、飲み会のマナーを身に着けてみてくださいね。