退職月の給与が通常よりも少ない場合はあります。今回は退職月の給与計算方法と、少なくなる理由をパターンごとに解説します。
この記事で記載している給与満額とは平常月の給与のことを指しています。
・満額支給になるケースは少ない
・給与計算方法は会社によって異なる※有給額は最低支給ラインがある
・給与明細で確認をするべし
下記でこれらを詳しく説明していきます。
基本的な給与の計算方法
まずは基本的な給与計算方法について記載していきます。
基本的な給与計算方法は下記となります。
支給額=総支給額(基本給+各種手当)-総控除額(各種保険料+各種税金)
会社によって給与計算の詳細は異なるので、雇用契約書や就業規則を確認するのが確実です!
退職月は計算方法が異なるので下記に詳細を記載していきます。
退職月に給与が満額支給される場合
確実に満額支給されるケースは以下の条件を全て満たす場合のみです。
- 最終出勤日が給与締め日と同じ日の場合
- 退職日が月末ではない場合
- 交通費などの前払い金の精算がない場合
- 住民税の一括徴収をしない場合
給与が当月払いの場合はすでに支給されている可能性もあるため注意が必要です。
(例)末締めの当月20日払いの場合→2月20日に退職した場合は、2月20日にすでに支給されてるため、3月20日の支給は無く、9日間の給与返金が必要となります。
また、退職日によって、退職月の給与から社会保険料が引かれる場合と引かれない場合があります。詳細は以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
退職月に給与が満額支給されない場合
上記の条件を全て満たしていない場合は、満額の支給とはならない可能性が高いです。
下記に満額の支給とならない代表ケースを記載していきます。
- 給与締め日より前に退職をした場合
- 有給消化をして給与締め日を迎えた場合
- 退職日が月末の場合
- 住民税が一括で徴収される場合
- 前払い金の返金が必要な場合
実際に退職月の給与を確認してみると、「税金などが引かれていて、思ったより手取りが少なくて困った」という人も多いです。
6月で退職なので最後の給料(当月払い)を下ろしに行ったら…5万くらい少なかった😢調べたら月最終日に辞めると次の月の分の社保とか払わないと、なんだって😫誰か教えといてくれよ~😭
— ぶらぶらタヌキ (@tanuki_tamakin) June 22, 2023
退職後、転職先が決まっていない場合は経済的に苦しいですよね。そんな時は、今の貯金で生活していけるか退職前に確認しておくことをおすすめします。
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- 身分証明書(健康保険証・運転免許証・パスポートなど)
- 収入証書 など
「お金が足りない!」と焦ることがないよう、金銭面もしっかりと計画を立てておきましょう。
給与締め日より前に退職をした場合
総支給額は基本給と各種手当で成り立っています。
上記で記載した通り、最終出勤日=給与締め日でない場合は、基本的に日割りでの計算となります。
基本給・各種手当は日割り計算についての法的なルールはないため、就業規則を確認しておきましょう!
以下では一般的な給与の計算方法を記載していきます。
基本給について
退職月の基本給は下記の基準での計算方法が設けられています。
暦日とは午前0時から午後12時までを一区切りとする一日です。
【計算式】支給額=基本給×(退職日までの暦日/当該月の暦日数)
(例)基本給が20万円で給与締め日が月末で退職日が15日の場合
20万円×(15日/30日)=10万円
各種手当について
退職月の各種手当については法的なルールはないため、会社の就業規則通りとなります。
基本給と同様に日割り計算としている企業もあります。
ただ、生活の負担を補う福利厚生的な意味合いが強いものは、日割りにしないケースもあります。
例えば、住宅手当や扶養手当などは出勤日数と連動して必要性は変動しないと言えるでしょう。
給与が振り込まれない場合や、退職月の給与が手渡しの方は下記の記事を参考にしてください。
有給消化をして給与締め日を迎えた場合
有給は下記の法律により確実に取得は可能ですが、有給額の計算方法は会社によって異なります。
(年次有給休暇)
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
引用元:労働基準法第39条
有給額の計算方法は3つあります。そのため給与が満額支給されないケースが発生します。
会社によってどの計算方法を採用しているか異なりますが、以下に3つのケースを記載します。
①通常の賃金を支払う
→最も一般的な計算方法で、通常勤務と同じ金額となります。
②平均賃金を支払う
→過去3か月間の給与額や出勤日数を計算して、平均賃金を算出します。『暦日数で計算する方法』と『労働日数で計算する方法』があり、基本的には暦日数で計算する方法が採用されていますが、労働日数が通常に比べて少ない場合は、金額が大きい方を採用します。
休日を含めての計算となるため、通常賃金を支払う方法よりも、支給額が減る可能性があります。
③標準報酬日額を支払う
→健康保険料の計算のために使用される仮の月給『標準報酬月額』を用いる方法です。標準報酬月額÷月日数で算出します。
標準報酬月額には上限が設けられているため、ごくまれに上記の方法よりも支給額が少なくなることがあります。その場合は従業員と労使間での協定を結ぶことと、就業規則への記載が必要となります。
有給=日割りの満額とならないケースもあるため注意が必要です!
退職日が月末の場合
退職日が月末の場合は社会保険料が2か月分引かれます。
社会保険料の注意点については下記に記載します。
- 社会保険料は日割り計算ではなく月割りで計算
→1日だけの在籍でも1か月分支払う必要があります。 - 社会保険の喪失日は退職日の翌日
→月末が退職日の場合は翌月分の社会保険料を支払う必要があります。
会社から貸与されている保険証も退職日の翌日以降は使用できないので注意が必要です。
国民保険への切り替えの手続きはご自身での対応が必要となります。
退職後の各種手続きに必要な書類については下記の記事を参考にしてください。
住民税が一括で徴収される場合
住民税の納付方法は2つあります。
普通徴収 | 役所から送付される納税通知書に従い、自分で納付する |
特別徴収 | 会社が従業員の代理として納付する |
特別徴収の場合のみ退職時に一括徴収となる可能性があります。
下記に一括徴収になる場合を記載していきます。
退職期間 | 方法 | 注意点 |
1月1日~5月31日 | 5月までの住民税の残額を退職月の給与から一括徴収 | 給与を上回る場合は、普通徴収で自分で納付する必要がある |
6月1日~12月31日 | 原則は退職月の前月分までの住民税を給与から徴収 | 普通徴収に切り替えるか、一括徴収にするか選択できる |
1月~5月が退職日の場合は注意が必要です!
前払い金の返金が必要な場合
会社によっては交通費を前払いしている場合があります。
3か月や6か月分の定期代がまとめて支給されている場合は、退職月の給与から引かれる可能性が高いです。
その他の前払金なども退職月に引かれる可能性はあるため、事前に就業規則を確認しておくのが良いです!
下記記事を参考に専門機関に相談してみるのも選択肢の一つです。
まとめ
・満額支給になるケースは少ない
・給与計算方法は会社によって異なる※有給額は最低支給ラインがある
・給与明細で確認をするべし
今回は退職月の給与が少なくなる理由について記載しました。
給与は労働の対価のため、働いた分は必ず支給されます。
しかしながら満額支給となるケースは限られているため、正しい給与の計算方法と給与から控除されるものを事前に把握しておいた方が良いと言えます。
可能であれば事前に就業規則を確認しておいた方が良いですが、少ないと感じた場合はまず給与明細を確認しましょう。
退職後の急な出費にも対応ができるように、金銭的に余裕を持った状態で退職をすることをおすすめします。