雇用形態と聞くと、正社員や契約社員、アルバイト、パートなどが思い浮かぶでしょう。
しかし、実際のところ、それぞれの雇用形態にどんな特徴があるのか分からない方が多く見受けられます。
今回は、雇用形態とはどういうものなのか、そして雇用形態にはどんなものがあるのかについて解説をしていきます。
雇用形態とは?
実は雇用形態というのは法律上で定められておりません。
そのため、明確な定義がある訳ではありませんが、労働者との契約を結ぶ上でお互いに納得をする為に様々な呼称で雇用形態を分別し、雇用の種別をわかりやすくしているのが雇用形態です。
一般的な雇用形態としては、正社員・契約社員・アルバイトなどがよく聞く雇用形態ですね。
法律はすべて『労働者』という枠組みになりますが、一般的な呼称として雇用形態が様々に分けられます。
この記事では、一般的に使われる雇用形態をすべて解説し、一覧で提示します。
法律上の雇用契約は
上記で記載した通り、法律上雇用形態というのは明確に定められておりません。
それでは労働の際、退職の際などに何をもって法律に当てはめるかというと、
『有期雇用』or『無期雇用』どちらになるかで法律は定められております。
※業務委託契約の場合も会社対個人事業主の契約となるので、上記は当てはまりません。
有期雇用には、一般的に契約期間が定められている契約社員や派遣社員があり、無期雇用には、正社員が当てはまります。
雇用形態の8つの種類
上記に記載した通り、雇用形態は法律上明確に定められてはいません。
しかし、労働者と雇用主との間で契約を結ぶ際に、お互いが納得するために様々な呼称で雇用形態を分別しています。
主な雇用形態の種類は以下のようなものがあります。
- 正社員
- 契約社員
- 嘱託社員
- 派遣社員
- 出向社員
- 準社員
- アルバイト
- パート
これらの雇用形態の特徴について、個別に解説をしていきます。
また、ここでは8つの雇用形態について紹介しますが、厚生労働省のホームページでは、『家内労働者』や『自営型テレワーカー』を含めた7つの雇用形態を紹介しています。
家内労働者や自営型テレワーカーについて、詳しく知りたい方は、以下を確認してみるのも良いでしょう。
以下はあくまで一般的な内容となるため、詳細は会社によって異なります。
正社員
正社員とは、契約期間に定めのない労働契約によって雇用されていて、会社から決められた就業時間をフルタイムで働く労働者のことです。
毎月決められた収入が保証されているので、給与だけではなく、賞与(ボーナス)や退職金などといった手当を支給されることが最大の特徴です。
また、福利厚生が充実しており、社会保険に加入することができます。
社会保険料の一部は、会社が負担してくれるため、正社員は少ない自己負担額で保険制度を活用することができます。
契約社員
契約社員とは、契約期間に定めのある労働契約によって雇用されている、有期労働契約を結んでいる労働者のことです。
契約期間が満了となると、自動的に労働契約が終了となるのが特徴です。
1回当たりの契約期間の上限は一定の場合を除いて3年です。
また、同じ会社で有期労働契約が5年を超えて更新された場合、労働者からの申請により、無期労働契約に転換されるルールもあります。
嘱託社員
嘱託社員とは、雇用期間に定めのある有期雇用で働く非正規雇用社員のことです。
専門的な知識や資格を持っていて企業に必要とされる期間だけ働く場合と、定年後の再雇用にのための有期雇用で働く場合の2パターンがあります。
嘱託社員の労働時間や日数については、柔軟に設定することが可能です。
例えば、専門的な知識や資格を持っている嘱託社員であれば、繁忙期のみ労働時間を長くしたり、定年後に再雇用された嘱託社員であれば、体力面の考慮をして時短勤務を実施することが可能です。
また、社会保険に関しては、条件を満たす場合には加入し、満たさない場合は加入しない形になります。
派遣社員
派遣社員とは、派遣会社と『有期労働契約』を結び、派遣会社が紹介する派遣先で勤務をする社員のことです。
給与の支給や保険の加入などは、派遣先の会社ではなく、派遣会社で行われます。
契約社員も社会保険に加入することはできますが、派遣会社の福利厚生に社会保険がある場合のみ加入が可能です。
派遣社員で社会保険への加入を希望されている場合は、あらかじめ派遣会社の福利厚生を確認するようにしましょう。
出向社員
出向社員とは、所属している会社とは別の会社(出向先)で勤務をする社員のことです。
出向社員には2種類あり、所属している会社と出向先の会社の2社で雇用契約を結ぶ『在籍出向』と、所属している会社との雇用契約を解除して、出向先の会社と雇用契約を結ぶ『移籍出向』があります。
給与の支払いについては、法律上明確な定めがないので、所属している会社と出向先の会社が話し合って決定します。
社会保険に関しては、給与が支払われている企業にて適用される形になります。
準社員
準社員とは、一般的に非正社員のことを指します。
明確な定義はないのですが、正社員からアルバイト・パートの中間程度の雇用形態と言われています。
そのため、有期労働契約なのか、無期労働契約なのかは、企業によって異なります。
社会保険については、条件を満たすことによって加入することができます。
アルバイト
アルバイトは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者のことです。
主に、夕方や土日祝に勤務する学生やフリーターなどの労働者のことを示します。
パートと同様に、法律上『パートタイム労働者』に定義されています。
アルバイトも準社員と同様に、条件を満たしていれば、社会保険に加入することができます。
また、以下の条件のアルバイトの場合は、社会保険への加入が必須となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 所定内賃金が月額8.8万円以上 ※基本給及び諸手当を差します。ただし、残業代・賞与等は含みません。
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
パート
パートとは、アルバイトと同様、『1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者』のことを示します。
アルバイトは、夕方や土日祝に勤務できる学生やフリーターなどの労働者を示す一方、パートは平日昼間に勤務できる主婦や主夫などの労働者を示す場合が多いです。
そのため、パートとアルバイトは名称が違うだけで、特徴などには違いはありません。
雇用形態と間違われやすい就業形態(勤務形態)
上記で紹介した通り、雇用形態の区分には8つあります。
しかし、紹介した8つの雇用形態とは別に、以下のような就業形態も聞いたことあるでしょう。
- 業務委託
- 短時間労働者
- 短時間勤務職員
- 非常勤職員
- 臨時職員
これらの就業形態は、雇用形態と間違われやすいのですが、就業形態となります。
では、雇用形態と間違われやすい就業形態についても解説をして行きます。
業務委託
業務委託とは、企業と雇用契約を結ばない状態で、企業から仕事を請け負う就業形態です。
業務委託という形で働く場合、企業と業務委託を受ける個人や法人の間で、『業務委託契約』を結びます。
この契約は、雇用契約ではないので、業務委託で仕事を請け負う際の企業との関係は、常に対等です。
他の雇用形態との違いとして、業務委託の場合は給与ではなく、報酬という形で金銭を受け取ります。
社会保険については、『国民健康保険』と『国民年金保険』のみ加入する義務があります。
短時間労働者
短時間労働者とは、勤務時間・勤務日数が同じ事業者で働いている正社員よりも3/4未満の労働者です。
また、以下に該当する従業員のことを示します。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
- 学生でないこと
短時間労働者の中には、アルバイトやパートも含まれます。
短時間勤務職員
短時間勤務職員とは、所定の労働時間がフルタイムの正社員と比べて短い職員です。
また、無期限の雇用形態を結んでいるうえ、基本給や賞与、退職金などの条件が正社員と同じ就業形態です。
非常勤職員
非常勤職員とは、1日8時間・週5日勤務のフルタイム以外の働き方をしている職員です。
非常勤は、正規・非正規などの雇用形態は関係なく、正規雇用でも、週3日勤務であれば、非常勤職員に区分されます。
臨時職員
臨時職員とは、一般的に正規職員が一時的に欠けた際に、臨時で勤務する職員のことです。
契約は基本的に半年から1年程の短期間なので、給与が上がる前に契約が切れてしまう可能性があります。
雇用形態一覧まとめ
雇用契約の種類で詳細を記載していきましたが、ここではその種別を表にまとめて一目でわかりやすくしています。
契約期間 | 一般的な区分 | 社会保険の可否 | 給与形態 | 定義 | |
---|---|---|---|---|---|
正社員 | 無 | 正規雇用 | あり | 月給 | 雇用契約に定めのない正規雇用の社員 |
契約社員 | 有 | 非正規雇用 | あり | 月給 | 雇用契約に定めのある非正規雇用の社員 |
嘱託社員 | 有 | 非正規雇用 | 条件による | 月給 | 雇用期間に定めのある有期雇用で働く非正規雇用の社員 |
派遣社員 | 有 | 非正規雇用 | 派遣会社による | 時給 | 派遣会社と有期雇用契約を結び、派遣会社が紹介する会社で勤務する社員 |
出向社員 | 無 | 正規雇用 | あり | 月給 | 所属している会社とは別の会社(出向先)で勤務をする社員 |
準社員 | 企業による | 非正規雇用 | 条件による | 時給 | 正社員からアルバイト・パートの中間程度の非正規雇用の社員 |
アルバイト | 企業による | 非正規雇用 | 条件による | 時給 | 1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者 |
パート | 企業による | 非正規雇用 | 条件による | 時給 | 1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者 |
(業務委託) | 請負先の企業・個人事業主による | – | なし※各自で加入 | 報酬 | 企業と雇用契約を結ばない状態で、企業から仕事を請け負う就業形態 |
雇用形態はどこで確認するのか?
雇用形態は、労働契約書や労働条件通知書の記載されています。
もし、自分の雇用形態が分からない場合は、これらの書類を確認して見ると良いでしょう。
労働契約書や労働条件通知書は、雇用形態問わず労働者に必ず知らせなくてはならないものです。
もし発行されていなかったらそれは違法です。
会社に交渉をしても発行してもらえない場合は、専門機関に相談をしてみるのも手です。
専門機関については以下の記事を参考にしてみてください。
雇用形態がわからない場合は?
通常は労働契約書や労働条件通知書に記載をしているのが一般的です。
ただあまり良くないことではありますが、中には書面のやり取りを行っていない、口頭でも会社から詳細を伺っていないという労働者の方もいます。
そういった場合は何で雇用契約を判断すれば良いのでしょうか?
答えは、、、
雇用契約や雇用形態が不明確な際は、実際の労働実態を元に判断される。
というのが当社顧問弁護士の見解でした。
つまり、
・フルタイムで社会保険を加入をしていて労働している会社と契約を結んだのなら「正社員」
・何の契約もしておらず、労働時間や日数も不規則で社会保険も未加入なら「個人事業主の業務委託」
といった様に、実際に勤務している実態を元に雇用形態は判断されます。
しかし、通常であればこういった雇用形態などは会社側が明確に提示する義務があるため、それがわからないようであれば、労務総務関連に関して適当な会社であったり、あまり良くない会社であることが考えられます。
また、そういった会社では自ずと離職率が高まります。
と言うことは会社からの引き留めが高いという事も想定されます。
「退職を認めない」ということもあるかもしれません。
そういった際に頼りになる専門機関もあるので、参考にして頂ければと思います。
自分で退職、必ずできます。
~お世話になった会社、だから自分で退職したい~
自分では退職できそうにない、それでも退職代行には頼りたくない。そういった方にコンサルティングを行います。
口コミ満足度・人気NO.1退職代行
~もうムリだ!っと会社で感じたら~
退職代行モームリは『二名の顧問弁護士監修×労働組合提携×株式会社の管理』で、ご依頼後は出勤や会社と連絡をすることなく、確実に退職が可能です。
まとめ
今回の記事をまとめます。
・雇用形態は法律上決まっていないが、労働者との契約を結ぶ上でお互いに納得をする為に様々な呼称で雇用形態を分別し、雇用の種別をわかりやすくしている
・雇用形態は9つ以上に分けられる
・雇用契約や雇用形態が不明確な際は、実際の労働実態を元に判断される。
上記の様な内容があげられます。
特に明確に決まっているわけでは無く、会社によって内容が変わることに注意は必要ですが、一般的な雇用形態を知っておくことによって待遇がイメージできるので、今回の内容を参考にして頂ければと思います。